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傷病がよくなって、社会生活に問題がなくなった後で再発したときは?〜社会的治癒とは?
Q: 私は現在34歳で、先月、精神障害で2級障害年金の支給が決定しました。
しかし、5年遡っての請求は認められませんでした。高校生の時に一時通院して、その7年後に再通院し始めて現在に至っているのですが、社会保険事務所も役場もあくまで初診日は20歳前なので、20歳当時の診断書が必要と言います。 しかし、この時点では病院にかかっていなかったので診断書は書いてもらえません。 もう9年も通院を続けているのになぜ障害認定日を遡って支給してもらえないのでしょうか?
A:請求時の初診日は、再通院の日とされたのでしょうか。
再通院の日が初診日と認められるには、この7年間が社会生活にほとんど支障がなく「社会的治癒」という状態であったことを明らかにしなくてはなりません。
「社会的治癒」とは、被保険者の受給のための期待を保護する社会保険で取られる考え方で、医学的には治癒と言えなくても、社会生活が問題なく(精神の場合でおおむね5年程度、傷病によっては10年以上)行われていれば治癒とみなすというものです。
ブランクの7年間については、通院も薬ももらうことも全くなかったのでしょうか。
通学はできていましたか。働けていましたか。その他、社会生活は可能でしたか。
原則としては社会生活を送れていても、医師の管理下で薬を処方されている場合は、社会的治癒とはみなされません。ただし、精神の障害については、薬の内容と生活状態により、投薬がほぼ消滅したと見られる症状を維持する(寛解)ためのものと判断できる場合には、社会的治癒と認められた事例もあります。
学校関係や仕事関係の第3者の方から証言してもらって、陳述書として提出するのもいいと思います。
それで、かつ再通院の最初の日の時点で保険料納付要件がクリアできていて、障害認定日での請求をしたのなら、社会的治癒であったため再通院の日を初診日と認めるべきだと審査請求という不服申立をすることとなります。
なお、審査請求は、支給決定があったことを知った日から60日以内です。
社会保険事務所や役場の窓口は社会的治癒の考え方を知らないか、知っていてもなるべく支給額を抑えようとしているのか、プランクの前を初診日として譲らない場合があります。 このような場合は、どんどん不服申立をして、行政に社会的治癒の考え方が私達の権利としてあるということを知らしめましょう。
肢体障害で社会的治癒が認定された事例
当方で代理請求し、肢体障害のジストニアで社会的治癒が認定された事例です。 ⇒社会保険審査会裁決H23(厚)第193号
なかなか厚生年金加入期間でないと社会的治癒を認めない
社会的治癒認定の根拠として、その期間がほとんど厚生年金加入期間であったことが必要とされるケースが多くなっています。精神で7年空いていても、小規模小売業で国民年金加入の場合に、社会保険審査会は社会的治癒を認めませんでした。 厚生年金加入でない場合は、治療中止が、医師による寛解診断などが必要と言えるかもしれません。
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