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ポストポリオでの初診日は?〜長期間障害が安定した後に悪化したときの初診日は?
Q:ポリオで長年、右脚を不自由にしてきましたが、厚生年金に加入して何とか働いてきました。受診もしていません。40代後半になって、急に左脚も不自由になり、受診を再開しました。ポストポリオと言われました。このポストポリオでの最初の初診日で障害年金を申請して、障害厚生年金が受給できるものなのでしょうか?
A:
ポストポリオについては、ポリオ発症の時点を初診日と見ると、20歳前初診の障害基礎年金しかもらえません。20歳以降、長年、厚生年金を納めていた人がポストポリオとなった場合に、ポストポリオでの最初の診察日を初診日とできれば、障害厚生年金すが受給でき、格段に有利な年金を受給できます。このことについては、長年、不服申立で争われてきましたが、不服申立審査機関で厚生年金加入中の初診日を認める決定が相次ぎ、旧社会保険庁としても以下のような通知を出し、ポストポリオ発症後の初診日を障害年金申請上の初診日と認定する取り扱われることになりました。
ポリオ後症候群に係る障害認定について
(平成18年2月17日)
(庁保発第0217001号) (地方社会保険事務局長あて社会保険庁運営部長通知)
これまで国民年金及び厚生年金保険におけるポリオ後症候群(以下「ポストポリオ」という。)の認定に当たっては、国民年金・厚生年金保険障害認定基準(昭和61年3月31日庁保発第15号通知及び平成14年3月15日庁保発第12号一部改正通知。以下「認定基準」という。)に基づき、ポリオに起因する疾病としてポリオで初めて診療を受けた日をもってポストポリオの初診日とする取扱いを行ってきたところである。
しかしながら、ポストポリオについては、その発症の前提となるポリオとの間に相当の期間が経過し、かつ、その間に継続した治療の必要がなく、症状が安定していた後にポストポリオが生じたものであることから、今般、近年における医学的知見等を踏まえ、今後は、ポリオに起因する疾病としては取り扱わず、次により取り扱うこととしたので、遺漏のないよう取り計らわれたい。
記
1.要件
以下の@〜Cの全ての要件を満たした場合は、国民年金及び厚生年金保険の障害認定上ポストポリオとして取り扱うこととし、障害の程度の認定については、認定基準に基づいて行う。
- 新たな筋力低下及び異常な筋の易疲労性があること
- ポリオの既往歴があり、少なくとも一肢にポリオによる弛緩性運動麻痺が残存していること
- ポリオ回復後ポストポリオを発症するまでに、症状の安定していた期間(おおむね10年以上)があること
- 1 の主たる原因が、他の疾患ではないこと
2.初診日
ポストポリオについて初めて医師の診療を受けた日とする。
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変形性股関節症も悪化後の最初の受診日が初診日
同様の障害に変形性股関節症があります。幼児期に股関節脱臼などがあり、その後問題がなく過ごしていて、成人後に悪化し、変形性股関節症となった場合は、成人後に悪化して受診した日が初診日とする扱いがされてます。
その他の障害でも認定事例がありますポストポリオや変形性股関節症に限らず、障害が悪化せず安定している期間が長期にわたってあり、社会生活上も障害と付き合いつつ、こなしていた人が、その後急激に悪化して、これまでの社会生活に支障が出て、受診を再開するような場合は、その受診再開時を初診日と認定させることができる可能性があります。
当事務所としても、以下の事例で厚生年金加入中や共済加入中を初診日と認定させました。
- 関節リウマチで約10年の寛解期間があった後の最初の受診日が初診日と認定させた(不服申立の結果)
- 脳性マヒの方が成人後に頚椎症性脊髄症となった場合、後発の最初の受診日を初診日と認定させた
このような初診日認定の可能性がある障害としては、このほか、脳性マヒの二次障害、ジストニアなどが考えられます。
ぜひ最大限有利な形での受給権を獲得してください。諦めないでください。
※当事務所では、障害年金請求フルサポートをご依頼いただいた場合には、医師に診
断書を書いてもらうようお願いする際にご本人に同行するか、医師への依頼書を作成するかして、専門家として診断書につ
いての説明、依頼を医師に対して行います。
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