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障害年金と老齢年金とは両方もらえますか?… 60歳〜と65歳〜の障害年金と老齢年金
Q:障害厚生年金3級の裁定を受けて後、60才で、老齢年金を請求して受給が決定した場合、障害年金との関係はどうなるのでしょうか。65歳以降はどうなるのでしょうか。H18年春、法律改正等があった様に聞いています。また仮に、2級になった場合はどうなるのでしょうか?
A:基本的には、障害年金か老齢年金のとぢらか有利な方を選択で受給すると考えてください。
64歳まで
□1□ 老齢年金の繰上げ請求をしていない場合
(1)厚生年金加入期間が1年以上あり老齢基礎年金の受給条件(25年以上加入など)を満たしている(特別支給の老齢厚生年金をもらえる)方で、在職していない等で厚生年金加入中でない場合…障害年金3級以上で、「特別支給の老齢厚生年金の障害者特例」が受給できます。厚生年金加入期間がある程度ある方は、これが一番有利です。この年金額は、〔老齢厚生年金の報酬比例部分+厚生年金加入期間に応じた定額部分+配偶者加給年金〕です。 請求月の翌月から支給ですから、なるべく早く(できれば特別支給の老齢厚生年金請求と同時に)請求する必要があります。 厚生年金加入期間が短い方は、障害厚生年金3級をもらい続けることになります。
(2)在職中などで厚生年金加入中の場合…障害厚生年金か特別支給の老齢厚生年金(生年月日と年令によって、報酬比例部分か報酬比例部分+定額部分+加給年金)かの選択です。 特別支給の老齢厚生年金には、在職中の調整がかかりますが、障害年金には調整はありません。また障害年金は非課税です。
(3)特別支給の老齢厚生年金をもらえない方…引き続き障害年金をもらいます。
□2□ 老齢年金の繰上げ請求をしている場合
障害年金と「繰上げの老齢厚生年金+老齢基礎年金」のどちらかの選択です。
65歳以降
(1)3級の場合…通常は、基礎年金部分のない障害厚生年金3級よりも、「老齢厚生年金+老齢基礎年金」の方が多いこととなり、こちらを選択します。
障害厚生年金3級の方が金額的に高くなるのは、厚生年金期間が短く、かつ、国民年金期間も含めて年金納付月数が相当少ない場合に限られます。
(2)2級の場合…06年4月の法律改正で他の選択方法が取れるようになったのは、2級以上です。
2級以上ですと、以下の3つのうちからの選択となります。
・「老齢厚生年金+老齢基礎年金」
・「老齢厚生年金+障害基礎年金」
・「障害厚生年金+障害基礎年金」
2級で会社で働いていた期間が長く、25年以上、厚生年金期間がある場合は、障害厚生年金より老齢厚生年金の方が多い可能性が高く、厚生年金部分は老齢厚生年金を選ぶことになり、基礎年金部分は、障害基礎年金は老齢基礎年金を40年払った場合の満額と同額ですので、通常は障害基礎年金を選択し、「老齢厚生年金+障害基礎年金」が有利となります。
逆に、厚生年金期間が25年よりかなり短い場合などは、これまで通り「障害厚生年金+障害基礎年金」をもらっている方が有利となる場合が多いです。
実際の選択については、役所の方で計算して、有利な年金を選択するようにしてく
れます。
また、65歳までずっと3級のままであれば、65歳以降は障害状態が悪化した場合あっても、額の改定がされることはありません。一方、65歳前(正確には誕生日の2日前まで)に2級の権利を得た方は、65歳以降も症状が重くなった場合に1級への額改定請求も可能です。
このように、3級の障害年金というのは、老齢年金をもらえるようになったら、障害
のない人と同じ年金額となり、障害があることが帳消しになってしまう場合があります。
症状が重くなったと考えられる場合は、65歳前(正確には誕生日の2日前まで)に額改定の請求をして、2級をめざすことをお勧めします。
1級は、障害厚生年金、障害基礎年金ともに2級の25%増しです。
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