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検査で経過観察とされたときの初診日は?
Q:乳癌 全身転移。H15年1月 左乳房下部のしこりが気になり検診を受けていま
したが、検査上特に問題はなく、経過観察。 9月、妊娠。翌2月、検診。妊娠中のた
め、乳房が張り、検査はエコーのみ。画像がわかりにくく、出産後数ヶ月経ったら再
度検査するよう言われる。左乳房下部のしこりのような硬さは変わらず。 5月、出
産。産後乳腺炎がひどく、両乳房しこりだらけで、産後1ケ月後から左乳房下部のし
こりは、大きくなり、硬さも増していたが、本人は、乳腺炎のためと思い、放置して
いた。 12月 乳腺炎の症状が落ち着いてきたので、受診。エコー検査で異常あり。
針生検で細胞診クラス4。乳癌の疑いありで、別の大学病院に紹介、転医。 翌年1
月、手術実施。 術後抗がん剤、放射線治療実施。2年後、卵巣転移 卵巣・子宮全
摘出手術実施。抗がん剤治療継続。H15年1月検診時を初診日とすることは可能で
しょうか。このときでないと厚生年金での申請ができません。最初のしこりとの因果
関係は、今の主治医は、「あったかもしれないし、なかったかもしれない。わからな
い」と言っています。 受診状況証明書が入手できれば、それが「初診」と認められる
のでしょうか。
A:
受診状況等証明書を出したからといって、それだけで初診日と認められるわけで
はありません。
その内容とその後の経過、現在の診断書、すべてを審査して、初診日をいつとするか
についても認定することになります。
この場合、以下のどちらかに重きを置くかとなると思います。
1 しこりという自覚症状はあったこと、そしてその場所が後のがんの箇所と同一で
あったこと。
2 検査した結果、経過観察となったこと。
初診日を起点として治療を開始していない場合は初診日として扱わないという取扱か
らすると、2より初診日とならず、一方で、誤診であっても初診日とするという扱い
からすると、1により、初診日とされる可能性もあります。難しいところです。
私としては、なるべく 1 を強調することにより、初診日として認めさせる可能性
はあるとは思いますが、少なくとも2度の不服申立(さらに裁判も)を含めて、長期戦
でかまえる必要があると思います。
ただ、今の医師が、関係がわからないというのは弱いですね。慎重になっているので
しょうが、セカンドオピニオンなどをあたって、少なくとも「関係がある可能性があ
る」程度の医師の意見書は確保したいところです。
なるべく詳しく 1 につながる内容で、受診状況等証明書を書いてもらってくださ
い、ということになりますが、専門家に委ねて、より詳しく診療内容を把握した上
で、しっかりとした申請をすることをお勧めします。
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