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初めて診察を受けた日(初診日)が不明のときは?


Q:52歳の弟が精神分裂病で長期入院しています。最近になって、障害年金のことを知りました。初めて診察を受けた日というのが、大切だと聞きました。記録に残っている診察日は、20歳を過ぎた大学生の時で、そのときには保険料を納めておらず、納付条件を満たしていないので、支給は難しいと言われました。ただ、高校時代から精神が不安定で、診察を受けていた覚えがあります。が、それがいつかはっきりしません。障害年金はもらえますでしょうか?

A:初診日(その障害の原因となる傷病で最初に診察を受けた日)が20歳の誕生日の2日前までで、障害が障害等級に当たるとされれば、障害基礎年金が支給されます。

初診日がいつかを一生懸命、当時の記憶をたどってください。診察券や領収書は残っていないでしょうか。日記や手帳に記録はありませんか。

初診日がだいたいでもわかれば、その病院に問い合わせましょう。その病院で確かに診察したという証明をもらえれば、障害年金受給の大きなハードルをクリアすることになります。




※この質問は、平成3年に請求された実際の事例です

結果的には、2度の不服申立てを経て、平成5年に支給決定がなされました(「社会保険審査会裁決集 平成5年版」,P.393)。
決め手は、不服申立ての最中に、高校時代に診察を受けていたという診療記録があると医師が証言してくれたことでした。なんと36年も前の診察記録が見つかったのです。



初診日の認定の新たな取扱い

初診日認定について、平成27年10月に新たな取扱いが始まっています。うまく使いこなせばこれまで認定されなかったケースでも初診日が認定される可能性があります。
初診日認定についての平成27年10月よりの取扱い



初診日の病院にカルテがないときの提出書類

受診状況等証明書が添付できない申立書を提出します。ただ、これは受診状況等証明書が提出できない理由を申し立てるというものですから、これを提出すれば初診日認定されるという書類ではありません。

なお、書類提出の仕方としては、一番古いカルテが残っている病院に受診状況等証明書を作成してもらい(ただしその病院が診断書作成病院の場合は受診状況等証明書は省略可)、それまでのカルテがない病院についてはこの受診状況等証明書が添付できない申立書を自分で作成します。
たとえば、3番目までの病院にはカルテがなく、4番目の病院にカルテがあるときは、1〜3番目までの3つの病院に受診状況等証明書が添付できない申立書を、4番目の病院に受診状況等証明書を依頼します。

保険料の納付が問われないとき

原則的な障害年金は、初診日(その障害の原因となる傷病で最初に診察を受けた日)において、保険料の納付状態が問われるのですが、20歳前に初診日がある障害年金については、保険料を納付していたかは問われません。当然です。20歳前は、国民年金の保険料納付義務がないからです。

20歳前に限らず、初診日から年月が経ってしまった時は、請求をあきらめてしまいがちです。 法定の診療記録(カルテ)の保存期間は5年です。しかし、この事例のように、それ以上保存されていることも多く、しっかりあきらめずに探すことで、光明が見えてくることがあります。

20歳前の初診日については、初診日証明や↓の何らかの客観的証明がない場合には、2人以上の第三者が証明すれば、20歳前初診を明らかできる書類として扱うこととなりました。 →20歳前障害の初診日の取扱(2011.12.16 通知)

⇒第三者の証明だけで初診日が認められるかどうか

第三者証明だけでは20歳初診日を認めないという決定がされることがあります。

しかし、何か別の客観的資料があれば第三者証明は要らないのです。探しつくしたが第三者証明しか出せなかったという場合に、その内容を検討した上で20歳前初診かどうかを判断しなければ、上記の厚労省の通知は絵に描いた餅となってしまいます。

第三者証明だけで20歳初診を認めさせるためには、まずは覚えている範囲で、しっかり必要な内容を抑えた証明書を書いてもらうことです。そして、しっかり内容のある証明書が提出できた場合には、最初の決定で認められなくとも、あきらめないで、不服申立でひっくり返すことをめざしましょう。

時間はかかりましたが、私が代理した第三者証明のみで20歳初診日を認定させた裁決事例を参考としてください。


転医している場合

初診日のその次の病院で、カルテの存在を確認します。その病院の最初の診察日に「これまで○○病院にかかっていたのですが....」と自己申告していて、それがカルテの最初に記載されている場合は、その記載を基にその病院の受診前の治療歴を受診状況等証明書(初診証明)に記載してもらいます。その内容により、初診日が認定されます。
2番目に受診した病院にもカルテがない場合は、その次の病院と順に、その傷病についての最初の診察日(いつ頃、何歳頃でもOKの場合もあり)と病院を申告により記載しているカルテを探しきります。古い記録によるほど認定の可能性は高くなります。



レセプト(診療報酬明細書)の開示

5年(きょうかい健保や国保は年、健保組合は場合によっては3年)以内であれば、97年から認められたレセプト(診療報酬明細書)の開示を請求することで、その当時かかっていた病院名と傷病名の証拠が確保できます。
これは5年前のものまで請求できます。その当時加入していた健康保険(政府管掌の健康保険ならきょうかい健保、健康保険組合の健康保険ならその健保組合、国民健康保険なら市町村)に開示請求をします。
⇒きょうかい健保へのレセプトの開示請求についてこちら



領収書を永久保存

また、これから医師の診察を受ける場合には、診察券や領収書をぜひ大切に永久保存してください。カルテがもし出てこなかったにしても、その診察を受けた証拠となって、初診日が推定されるとして、受給が認められる場合もあります。
誰しも何が原因でいつ障害状態になるかわかりません。その時に、それらの診察の記録はあなたを守ってくれ、障害年金受給への道を開いてくれるのです。



その他の初診日認定のための客観的な資料として認められる可能性のあるものの例(コピー)

  • 身体障害者(精神保健福祉)手帳
  • 身体障害者(精神保健福祉)手帳申請時の診断書
  • 生命保険診断書
  • 自賠責保険診断書
  • 初診の日付と受診科のわかる診察券・・・精神障害の場合
  • 救急搬送記録
  • 交通事故証明書
  • 労災の証明書
  • 医師による診療情報提供書(紹介状)
  • 会社などの健康診断記録
  • インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー
  • カルテの治療歴記載部分
  • 薬の説明書

初診日認定についての国のマニュアル

初診日認定についての平成27年10月よりの取扱い


Web www.shogai-nenkin.com

安部敬太社会保険労務士事務所
社会保険労務士 安部敬太
安部敬太
東京都東村山市

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