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老齢年金繰上げと障害年金


Q:国民年金の老齢基礎年金を62歳で繰上げての支給をお願いし決定しました。その後、下半身の麻痺となりました。障害の認定は1級です。役所は障害年金は出ないと言いますが、国民年金の発足時よりきっちりと保険料を払い続けてきたのに、障害年金は受給できないのでしょうか?


A:  国民年金を62歳から受給されているということは、国民年金の老齢基礎年金を繰り上げ受給されたということですね。 老齢基礎年金を繰り上げ請求をした日後の障害については、残念ながら、特別な場合※を除いて、障害年金の対象とならないと定められています。
(国民年金法附則9条の2の3)

 これは、国民年金による障害基礎年金は、65歳以降に障害状態になった場合は支給されませんが、本来65歳から支給される老齢基礎年金を繰上げ受給したということで、年金との関係では65歳に達したみなされるためです。

 ※繰り上げ請求した後に初診日がある場合で、障害年金の対象となるのは、この障害の初診日のときに会社などで働いていて厚生年金の加入者であった場合だけです。

すでに1度は障害基礎年金の受給権を得ていて支給停止となっていた傷病が繰り上げ受給後に悪化した場合には、支給停止事由消滅届により、支給再開の請求は可能です。

 ◆繰上げ受給権発生後は、障害認定日では障害状態に該当せず、その後悪化して請求時現状で請求する事後重症請求はできません。
また、一度も、障害基礎年金(2級以上)の受給権を得ていない(ずっと3級)障害厚生年金の受給権者は、繰上げ受給権発生後に2級となっても障害基礎年金の支給はありません。

 ◆繰上げ受給権発生前に初診日がある場合で、繰上げ受給権発生後に、障害基礎年金の請求ができるのは以下の場合です(国民年金法附則9条の2の3)。
  • 初診日において、国民年金の被保険者である※※ときの障害認定日請求。認定日が繰上げ受給権後であっても可能。
    ※※被保険者とは、60歳前の人、60歳以降65歳までのの厚生年金加入者や任意加入者など
  • 60歳以降の被保険者でないときに初診日があり、障害認定日も繰上げ受給権発生前である場合の障害認定日請求
  • 繰上げ受給権発生前に初めて2級に該当した場合の初めて2級による請求
  • 障害基礎年金2級を受給していた人が、その他の傷病に関する繰上げ受給権発生前の障害認定日以降繰上げ受給権発生前までにおいて、2級とその他障害を併せて1級となったとの認定を求める額改定請求
  • 障害基礎年金2級を受給していたが支給停止になっている人が、その他の傷病に関する繰上げ受給権発生前の障害認定日以降繰上げ受給権発生前までにおいて、支給停止の障害基礎年金とその他障害を併せて2級となったことにより、支給再開を求める請求(支給停止事由消滅届)

◇日本年金機構『年金相談マニュアル「相談事例編」2011.4』より

4.年金制度について
(2)障害年金の制度

(問3) 現在、繰上げの老齢基礎年金を受給していますが、繰上げ請求を行う前に初診日がある障害について障害基礎年金を請求することはできますか。
(答)老齢基礎年金の繰上げ請求を行った者は、受給権発生日前に初診日、認定日ともにあれば障害基礎年金を請求することができます。

(問15) 60歳から繰上げて老齢基礎年金を受給しています。59歳のときに初診のある病気が年金に該当すると言われました。今からでも障害年金の請求はできますか。
(答) 60歳前に初診日があり、障害認定日(初診日から1年6ヶ月又はその前に症状固定)が繰上げ請求後になった場合と60歳後に初診日があり、障害認定日が繰上げ請求前になった場合については、障害認定日による請求は可能です。


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安部敬太社会保険労務士事務所
社会保険労務士 安部敬太
安部敬太
東京都東村山市

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