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パニック障害、神経症、人格障害で障害年金がもらえますか?
Q:パニック障害でも給付されますか?会社を休業中で、「傷病者手当金」を受け取っています。
これが今年秋に給付がとまります。しかし、今の現状からすると、それまでの復活が見込めず、働く事が困難です。外に一人では出られません。一人で居る事に不安を感じます。
そのため、母が勤めを辞めてくれました。
A:
障害年金支給対象の精神障害は原則として、以下に限られています。
病名 | ICD10コード |
統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害 | F2 |
気分(感情)障害 | F3 |
症状性を含む器質性精神障害 | F0 |
てんかん | G40 |
知的障害 | F7 |
発達障害 | F8 F9 |
パニック障害は原則として障害年金の支給対象とはされていません。医師が「精神病の病態を示している」と診断書に記載するかどうかが大きく影響します。
精神診断書の注意書きには以下とあります。
精神診断書の注意書き 5
5 「@障害の原因となった傷病名」欄に神経症圏 (ICD-I0コードが 「F4」 )の傷病名を記入した場合で、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」 または「気分(感情)陣害」の病態を示しているときは、 「L備考」欄にその旨と、示している病態のICD-10コードを記入してください。
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下記の神経症の範疇の傷病は原則として給付対象としないとしていますが、精神病の病態を示しているものは、給付対象とされるのです。
神経症の範疇とされるもの
パニック障害 強迫性障害 PTSD 身体表現性障害 適応障害 (抑)うつ状態 社会不安障害 解離性障害 転換性障害 摂食障害 睡眠障害※ その他の病名の病名分類は、ICD(国際診断基準)10で確認してください。神経症・人格障害はF4〜6です。 |
障害によっては、奇異な行動が顕著であるなどの病態や服用している薬の種類と量によっては、精神病相当として、支給の対象となる場合があります。ただ、これは最初の裁定請求時ではぼあり得ません。2段階目の不服申立(再審査請求)によって、初めて、認定される可能性が出てきます。
認定対象とされている傷病と認定対象とされていない傷病が併発している場合があります。たとえば、傷病名が「うつ病・パニック障害」などとなる場合です。この場合には、認定対象とされる可能性がありますが、場合によっては、診断書全体の内容により、上記認定対象外の傷病による日常生活の制限の程度は差し引かれるケースもありますので、注意する必要があります。
このメールだけでははっきりしたことは言えませんが、これだけで考えると、就労できず、外出もできないのであれば、3級の可能性はかなり高く、2級の可能性も十分あると考えます。
人格障害について
精神病病態を示しているときという除外規定もなく、神経症より明確に、原則として認定対象外とされています。
ただし、境界性(型)人格障害だけは、精神病の病態を示している場合には認定対象とすると、不服申立の裁決事例で、明らかにされています。 |
※「精神病の病態を示している」というのがいったいどういう病態なのか、医師の間でも議論のあるところで、同じ医師に言わせても狭くとらえるのか、広くとらえるのかで、ぜんぜん違ってきます。そういう表現があるかないかというあいまいな線引きで、異常行動も伴う強迫性障害や生活・労働能力の低下の大きいパニック障害などを神経症のカテゴリーであるというだけで、認定対象としないというのは、非常に問題だと私は考えています。 →最近の不服申立に対する社会保険審査会の裁決で、私の意見とほぼ同じ趣旨で、強迫性障害について支給を認めた事例がある。 |
※当事務所では、障害年金請求フルサポートをご依頼いただいた場合には、必要に応じて、医師に診
断書を書いてもらうようお願いする際にご本人に同行して、専門家として診断書につ
いての説明を医師に対して行っています。
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