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障害厚生年金を請求したいが、国民年金加入中が初診日認定される可能性もかなりあります。どうすればいいのでしょうか?


Q:障害年金の請求をしようと考えているけれど、初診日と認定される可能性のある日が2つあって、一方は会社で働いているときで厚生年金加入中で、もう一方は国民年金加入中だった。障害厚生年金なら、2級以上では金額がかなりプラスとなり、3級もある。障害厚生年金を請求したいが、国民年金加入中が初診日認定される可能性もかなりある。障害厚生年金が認められないなら、まずは障害基礎年金だけは確保したい。どうすればいいのでしょうか。
A: こういう方はかなりいらっしゃると思います。私が扱った案件もこういうケースは多々ありました。

初診日と認定される可能性がある日が2つ以上ある場合はどんなときでしょうか

3つあります。

@ 初診日を証明する資料が見つからず、2つ目の病院を受診した日は証明できる場合です。初診日は厚生年金加入中であり、2つ目の病院では国民年金に加入していたとき、初診日をどうしても証明したいが、その証明が不十分だと判断されたら、2つ目の病院を受診した日が初診日と認定されてしまうことがあります。

A 医学的には治癒といえなくても、長期間、受診が必要なく(精神の場合は最低限の服薬も含む)就労できていたなど、社会生活上問題がなかった場合には、社会的治癒といって、その後、悪化した最初の受診日が初診日となることがあります。社会的治癒前のその病気での最初の受診日では、国民年金加入中だったが、社会的治癒後の受診日は厚生年金加入中であった場合には、社会的治癒が認定されると障害厚生年金が支給されます。傷病としては、精神障害だけでなく、肢体障害(関節リウマチやジストニアなど)、心臓疾患などの内科的疾患でも認定例があります。

B 前の傷病や症状と後に診断される傷病に因果関係があるか、ないかがはっきりしない場合です。医師に聞いてもどっちとも言えるというケースもありますし、医師が「ない」と言っても、年金機構が「ある」と判断をすることもあります。心臓など同じ部位に2つ以上の病気がある場合も難しいですし、腎不全の原因疾患は何なのかはっきりしないようなこともあります。また、慢性疲労症候群や難病など確定診断までに時間がかかる病気では、いつが初診日なのかの判断はかなりゆれ動きます。

このように初診日と認定される可能性がある日が2つある場合にどう対処するのかは障害年金請求をややこしくしている難関の一つです。

初診日に加入している制度が違うとどういう影響があるのでしょうか

初診日に加入している制度で、受給できる障害年金が、障害厚生年金か障害基礎年金かに分かれるからです。障害厚生年金は初診日時点で厚生年金加入している場合にしか支給されません。⇒2階建て年金

障害厚生年金と障害基礎年金の同時請求を

結論は、ぜひ障害厚生年金と障害基礎年金の同時請求をしていください、ということです。障害厚生年金の請求書は正式には「年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)」で、障害基礎年金の方は「年金請求書(国民年金障害基礎年金)」です。この2枚の請求書を同時に出す。全て添付書類は完璧にそろえてください。現状の診断書であれば同じものが2枚必要になります。こうすれば、国は請求を拒否できません。

どうしてこの方法が一番なのか。まずは第一希望の障害厚生年金の審査に入ってもらい、それがダメなら、障害基礎年金の審査に入ってもらいます。障害厚生年金については不服申立てを行います。不服申立ては、2審目の結果が出るまで、通常、約1年半(またはそれ以上)かかりますから、障害基礎年金が先に結果が出ることが多く、障害基礎年金が認定されれば、障害基礎を受給しつつ、障害厚生年金についての不服申立てをすることができるわけです。

つい最近も、厚労省年金局事業管理課年金給付係は、行政手続法(申請があったときは審査しなければならないという第7条)から、2つの請求であっても拒否はできない、つまり同時請求は可能であると見解を示しています。3年前後前から、厚労省へ見解を求めてきました。
障害厚生年金と障害基礎年金の同時請求についての国とのやり取り

機構窓口でもかなりやりあってきましたが、最近はすんなり受け取ることが増えてきました。

『受付・点検事務の手引き』に同時請求が記載される

年金機構は、2016年4月に出したマニュアル『国民年金・厚生年金保険障害給付〈障害厚生〉受付・点検事務の手引き』の「年金請求書の受付・点検」に「H 同時請求」として以下が記載されました。
障害厚生年金と同時請求している年金がある場合には、請求書名の下に「○○年金同時請求」と朱書してください。同時請求している年金が障害基礎年金の場合は、審査終了後、決定(入力)前に機構本部障害年金業務部障害年金第2グループまでご連絡ください。

そして、さらに疑義照会の回答「同一傷病による再発初診も見揖えた障害厚生年金と障害基礎年金の同時簡求について」も出ています。
2022年8月の時点でも、同時請求の受け取りを拒否する窓口があるようです。その場合は、ぜひこの疑義照会をプリントアウトして示してください。  

これは、私が求めてきた障害厚生年金と障害基礎年金の同時請求を国が認めたものと考えていいと思います。

でも、まだまだこの同時請求が可能であることを知らない窓口は多いと思います。窓口で同時請求を拒むような対応があった場合には、この部分を示してください。それでも、窓口が受け取りを拒否したりしたら、厚労省年金局が可能だと言っているとはっきり言ってください。それでも受け取らないなら、受け取りを拒否したことを理由も含めて、書面にして出させるようにしてください。



代理人の皆さんへ
ここ最近、障害年金の審査請求の経験がある方は、同時請求をしなくても、障害厚生年金請求に対して、障害基礎年金支給を認めるという不服申立て結果が出ていることから、同時請求は必要ないのではないかと考えている方もいらっしゃると思います。

確かに、ここ3、4年、再審査請求(不服申立て2審目)に対する裁決で、社会保険審査会は障害厚生年金の請求に対して、国民年金加入中に初診日があると判断して、他の受給条件を満たす場合には、障害基礎年金の支給を認めることが結構あります。

しかし、このような法的には根拠がほぼないに近い裁決がいつも行われるわけではないです。私が代理したもので、厚生年金加入中に初診日があることを認めず、障害厚生年金について却下した裁決が2年前にありました。障害厚生年金請求に対して、国年加入中を初診日と認定しながら、障害基礎年金支給という裁決がされない場合に、請求側としては、それに対して障害基礎年金だけは認めろという法的な争い(訴訟)を行うことはできません。根拠法が違うため、請求自体も別として扱われるからです。

この3、4年前までは、全ての裁決は、このような場合に障害厚生年金を却下するだけでした。そして、以前から現在まで、これに関する法改正も厚労省の公式な見解発表もありません。

1年前になりますが、私が代理した人工透析を受けている方の再審査請求で、厚労省が公開審理の場で障害厚生年金請求に対して、20歳前を初診日として障害基礎年金は認めるという処分変更を表明しました。それに対して、社会保険審査会の審査員から、それは法的におかしいではないか、と突っ込まれていました。私は審査会がやっていることでしょう、と思いましたが、審査会からすると法的には成り立たないことを温情で、請求者を救済するためにやっているんだということなのかもしれません。この場合も事後重症(現状についての)請求ですから、障害基礎年金請求のやり直しとなると、1年数ヶ月は受給できたはずの年金が受給できなくなります。

ここであらためて説明しますと、事後重症(現状についての)請求の場合には請求日が受給権発生日となりますから、請求日が遅れれば遅れるだけ、受給できない年金はふくらみます。

すべきことは、上記に書いたとおり、できるだけ障害厚生と障害基礎の同時請求をすること、まさか障害基礎になるはずはないと思っていて障害厚生年金だけの請求をした場合でも、障害基礎認定の可能性があるとわかった時点でなるべく急いで、障害基礎年金の請求「も」行うことです。 2017年11月 2019年7月にも、同時請求したにもかかわらず、どちらかを選択をしろも障害年金センター


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安部敬太社会保険労務士事務所
社会保険労務士 安部敬太
安部敬太
東京都東村山市

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